2017年8月20日日曜日

「大統領と話すつもりない」は批判? 日経の記事に疑問

19日の日本経済新聞夕刊を読んでいたら「これって批判に当たるの?」と疑問に思う記述が2つあった。まずは総合面の「『大統領と話すつもりない』 米デモ衝突の犠牲者母が批判」というベタ記事だ。全文は以下の通り。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

【ワシントン=芦塚智子】米南部バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者の男の車にはねられ死亡したヘザー・ハイヤーさんの母スーザン・ブローさんが18日、ABCテレビのインタビューに答えた。ブローさんは、白人至上主義団体と反対派の衝突は「双方に非がある」などと発言したトランプ大統領について「大統領と話すつもりはない」と批判した



◎「話すつもりはない」だけでは…

大統領と話すつもりはない」だけでは「スーザン・ブローさん」がトランプ大統領を批判したのかどうか判然としない。「会って文句を言うつもりはない」とも解釈できる。この件で産経は以下のように書いている。


【産経の記事】

【ニューヨーク=上塚真由】米南部バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派が衝突した事件で、白人至上主義とされる男の車にはねられ死亡した弁護士助手、ヘザー・ハイヤーさん(32)の母、スーザン・ブローさんは18日、トランプ米大統領が会見で「両方の側に責任がある」と述べたことに、「娘のような抗議する人たちと、白人至上主義者を同一視した。許せない」と批判した

ABCテレビのインタビューで語った。ヘザーさんの告別式が行われた16日にホワイトハウスから何度か電話があったというが、ブローさんは、「私と握手して『ごめんなさい』ということで(発言を)水に流すことはできない」と批判し、トランプ氏と今後も話したくないとした。

また、トランプ氏に対して「(意見を)口にする前に、よく考えてほしい」と訴えた。

◇   ◇   ◇

これだと確かにトランプ大統領を批判している。日経も「娘のような抗議する人たちと、白人至上主義者を同一視した。許せない」というコメントを使えば済んだ話だ。なぜ「大統領と話すつもりはない」の方を選んだのだろう。
九州北部豪雨後の宝珠山駅(福岡県東峰村)
           ※写真と本文は無関係です

もう1つ気になったのが、同じ日経夕刊総合面の「米政権、混乱収束みえず バノン氏解任 野党・支持層とも批判」というトップ記事だ。そこでニューヨーク支局の関根沙羅記者は「野党」の「批判」について、以下のように書いている。

【日経の記事】

民主党の下院トップ、ペロシ院内総務はバノン氏解任についてツイッターに「トランプ氏がこれまで人種差別的な考え方や政策を促進してきた事実を消すものではない」と投稿し、大統領を批判した。


◎「積極的には評価しない」ぐらいの意味では?

トランプ米大統領の最側近で排外的な思想で知られたバノン首席戦略官・上級顧問が18日解任された」ことに関して、解任を歓迎するはずの「野党」も批判に回るものなのかなと思って読んでみると微妙な感じだ。

トランプ氏がこれまで人種差別的な考え方や政策を促進してきた事実を消すものではない」という投稿からは「解任を積極的には評価しない」というニュアンスは伝わってくるが「批判」とはちょっと違う気がする。

トランプ氏に関して安易に「批判」という言葉を使っていないか、日経の国際部はよく検討してほしい。


※今回取り上げた記事

『大統領と話すつもりない』 米デモ衝突の犠牲者母が批判
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170819&ng=DGKKASGT19H0K_Z10C17A8NNE000

米政権、混乱収束みえず バノン氏解任 野党・支持層とも批判
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170819&ng=DGKKASGT19H15_Z10C17A8NNE000


※日経の記事の評価はいずれもC(平均的)。芦塚智子記者と関根沙羅記者への評価も暫定でCとする。

0 件のコメント:

コメントを投稿