平成筑豊鉄道 田川伊田駅(福岡県田川市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下の通り。
【日経の記事】
農林水産省は9日、2016年度の食料自給率(カロリーベース)が38%だったと発表した。コメが不作だった1993年度の37%に次ぐ低水準。北海道を襲った台風などの影響で、小麦やテンサイの生産量が落ち込んだ。政府は2025年度までに自給率を45%に高めるという目標を掲げている。しかし09年度を最後に40%台には届いておらず、目標達成の道筋は見えない。
カロリーベースの自給率は、コメや小麦といった穀物の供給量に左右されやすい。政府は輸入品が多い畜産飼料を国産に置き換えようと、飼料用米の増産に力を注ぐ。しかし草を食べる牛の飼料にコメを配合してもその割合には限界があり、自給率の押し上げ効果は乏しい。
単価の高い野菜や畜産物などの動向が影響する生産額ベースの自給率は15年度に比べて2ポイント増の68%だった。野菜や果実で輸入が減り、国内生産が増えた。生産額ベースは2年連続で上昇した。
◇ ◇ ◇
16年度の「38%」は「1993年度の37%に次ぐ低水準」らしいので、15年度に比べて低下したのだろうと推測はできる。だとしても低下したかどうかは記事に入れるべきだ。前年度との比較も欠かせない。
ちなみに産経は以下のように書いている。
【産経の記事】
農林水産省は9日、平成28年度のカロリーベースの食料自給率が27年度に比べて1ポイント低下の38%だったと発表した。過去2番目の低さで、記録的冷夏によるコメの不作で37%だった5年度以来、23年ぶりの低水準。小麦や砂糖原料のテンサイの生産が北海道の台風被害など天候不順で減少したことが響いた。前年度を下回ったのは6年ぶり。
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これならば問題ない。「前年度を下回ったのは6年ぶり」は日経の記事にも盛り込みたいところだ。
この手の記事を書くときに前年度との比較を省いても気にならないとすれば怖い。日経の記事を書いた記者は経験不足なのかもしれない。しかし、そのまま紙面化したのだから、デスクも「前年度との比較なし」に問題を感じなかったことになる。「38%に低下」という見出しを付けた整理部の担当者・デスクも何とも思わなかったのか。それとも指摘したのに無視されたのか。いずれにしても、記事の作り手としての基礎的な能力を疑われても仕方がない。
※今回取り上げた日経の記事「食料自給率、38%に低下 昨年度、23年ぶり水準 小麦の生産減」
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170810&ng=DGKKASFS09H3O_Z00C17A8EE8000
※日経の記事の評価はD(問題あり)。
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