市立しものせき水族館「海響館」(山口県下関市) ※写真と本文は無関係です |
まず苦しいのが「主要国の女性就業率」というグラフだ。「経済協力開発機構(OECD)調べ」で米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本の7カ国を比べている。この中で日本はドイツ、カナダ、英国に次ぐ4位だ。上位3カ国との差も数ポイントに見える。これで「世界ではなお見劣り」という注釈を付けられても納得できない。
記事中では「労働力調査によれば2015年の15~64歳女性の就業率は64.6%と、1968年以降で過去最高に達した。2012年以降で約4ポイント上がり、英国やドイツなど先進国との差を詰めた。国の取り組みは一定の成果を上げている」と解説している。これだと「差は詰めたが、先進国の中では見劣りする」と言っているように感じる。だが、少なくとも「主要7カ国」の中では平均的な水準に達しているはずだ。
以下のくだりでは「日本はまだ女性活躍後進国」と断言しているが、これも怪しい。
【日経の記事】
だが個別企業でみると日本はまだ女性活躍後進国だ。米トムソン・ロイターは10月、上場約5500社を対象にダイバーシティー&インクルージョン企業ランキングをまとめた。女性の管理職比率や社員比率、雇用制度など24項目で算出。上位100社に入った日本企業は、アステラス製薬や資生堂、花王など6社だけだった。
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「上位100社に入った日本企業は、アステラス製薬や資生堂、花王など6社だけだった」と石塚編集委員は言うが、先進国になるには何社入ればいいのだろう。仮に10社以上とすると、「先進国」と呼べるのは数カ国だけではないか。
「6社も入っていれば立派な先進国」とも思える。もちろん、どういう基準で先進国と後進国を分けるかによる。ただ、石塚編集委員は何の基準も示していない。「上位100社中6社しか占めていないから後進国」では説明が雑だし、説得力はない。
「女性活躍が大切」と訴えるのは構わない。だが、最初に結論ありきでは、どうしても説明が強引になってしまう。今回のような書き方をしていると、かえって「女性活躍はもう十分」との印象を強めてしまう。それは石塚編集委員にとって本意ではないはずだ。
※記事の評価はD(問題あり)。石塚由紀夫編集委員への評価もDとする。
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