2016年9月10日土曜日

日経「国際自動車 観光タクシーのサービス拡大」の無意味

よくあることではあるが、掲載する意味のない記事が日本経済新聞朝刊企業面に出ていた。10日の「国際自動車 観光タクシーのサービス拡大」というベタ記事は、ニュースとしての価値がほぼゼロだ。日経における粗製乱造の悪しき“伝統”は着実に受け継がれていると見るべきだろう。
秋月城跡近くの桜(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

全文は以下の通り。

【日経の記事】

タクシー大手の国際自動車(東京・港)は東京都内をタクシー運転手が案内するサービスを拡大する現在予約件数は月20~60件にとどまっているが、2020年までに380件に伸ばす。観光タクシーはガイド料など追加的な収入が見込める。

同社はツイッターに日本語と英語の2種類のアカウントをつくり、専用サイトに掲載する記事などを投稿している。英語版のフォロワーは1万8000人いるという。

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東京都内をタクシー運転手が案内するサービスを拡大する」というならば、具体的にどうサービスを拡大するのかが欠かせない。例えば「運転手の人数」「対応できる言語」「案内できるコース」などを増やすといった話が考えられる。しかし、記事には「現在予約件数は月20~60件にとどまっているが、2020年までに380件に伸ばす」と書いてあるだけだ。これは単なる「目標」に過ぎない。新しい取り組みがないのならば「願望」と言った方が正確だ。

しかも、第2段落に意味がない。ツイッターでの取り組みは既にやっていて、その結果として「現在予約件数は月20~60件にとどまっている」はずだ。ツイッターの話を入れるならば、それがどう「2020年までに380件に伸ばす」ことと関係してくるのか説明すべきだ。「英語版のフォロワーは1万8000人いるという」と現状を報告されても、それが「観光タクシーのサービス拡大」とどう結び付くのか見えてこない。

まともな書き手を目指すのであれば、上記の記事を一読して「このままでは載せる意味がない」と判断できなくてはダメだ。企業の発表も多くネタには困らないはずの土曜日朝刊でこのレベルの記事を堂々と載せているのだから、記者はもちろんデスクも記事の問題点には気付いていないのだろう。それが日経の今の実力と言える。


※記事の評価はE(大いに問題あり)。

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