熊本大学(熊本市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下の通り。
【日経の記事】
【ムンバイ=堀田隆文】インドIT(情報技術)サービス大手3社の2016年4~6月期連結業績が出そろった。最大手タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)と2位インフォシスの純利益が前年同期比で2桁の伸びを確保する一方、3位ウィプロは2四半期連続の減益となった。上位2社も人件費の高騰に直面しており、収益環境の先行きは厳しさを増している。
TCSの4~6月期の連結純利益は前年同期比11%増の631億ルピー(約1000億円)だった。実績は市場予想を上回った。TCSのチャンドラセカラン最高経営責任者(CEO)は「主要な市場、業界で幅広い成長を遂げた」と強調した。
インフォシスの連結純利益は343億ルピーで13%増。2桁増益だが実績は市場予想を下回った。ウィプロの連結純利益は7%減の205億ルピー。
英国の欧州連合(EU)離脱決定も懸念材料だ。各社は売上高の2~3割を欧州で稼いでいる。インフォシスは17年3月期の売上高(米ドル換算)の前期比伸び率の予想を従来の11.8~13.8%から10.8~12.3%に下方修正した。
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見出しにある「インドITサービス3社 人件費高騰」について記事中で触れているのは「上位2社も人件費の高騰に直面しており、収益環境の先行きは厳しさを増している」というくだりだけだ。これだと、得られる情報は見出しとほぼ同じだ。「インドITサービス3社では人件費が高騰しているのか。どういう状況なんだろう」との関心を抱いて記事を読んだ人であれば「裏切られた」と思うのが当然だ。
「上位2社も人件費の高騰に直面しており」と書いている場合、「3位ウィプロ」での人件費高騰には既に触れているような印象を受けるが、そうした記述もない。堀田隆文記者は記事の書き方の基本が身に付いていないようだ。
この記事は紙面上で40行余りしかない。そこで3社の業績をまとめる必要がある。「人件費高騰」に焦点を当てるのならば、3社の業績に触れて人件費の説明をすれば、すぐ40行に届いてしまう。だから、あれこれ他に手を出す余裕はない。なのに堀田記者は「英国の欧州連合(EU)離脱決定も懸念材料だ」と最後の段落で話を移している。そこに記者としての未熟さが出ている。
「インドITサービス3社」で「人件費高騰」が起きているのに、「3位ウィプロ」だけが減益で他の2社は増益なのも気になる。業績のまとめ記事としては「人件費高騰の影響を同じように受けながら、なぜ利益面で明暗が分かれたのか」も必ず触れるべきだ。
見出しに釣られて読む人の期待を裏切らない記事にするにはどうしたらよいのか--。堀田記者には、そこから学び直してほしい。記事の完成度の低さに関しては、国際アジア部の担当デスクの責任も当然ながら大きい。
※記事の評価はD(問題あり)。堀田隆文記者への評価も暫定でDとする。
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