2016年5月28日土曜日

必須情報が抜けた日経「武田、アリナミン錠剤の生産倍増」

日本経済新聞の企業関連記事では記事を構成する上での必須要素が頻繁に抜ける。28日の朝刊企業・消費面に載った「武田、『アリナミン』錠剤の生産倍増 30億円投資」というベタ記事では、入れるべき情報が2つも抜けていた。
太宰府天満宮の参道(福岡県太宰府市)
             ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

武田薬品工業は27日、ビタミン剤「アリナミン」の錠剤の生産能力を倍増すると発表した。京都府福知山市の工場に30億円を投じ、錠剤を糖衣で覆う工程のラインを2つに増やす。縮小傾向にあった国内の大衆薬市場はインバウンド(訪日外国人)需要で盛り返しつつある。中国への輸出も計画しており、今後の販売増に備える。

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まず、生産能力をいつ倍増させるのか謎だ。さらに「アリナミン」の錠剤を生産する能力がどの程度になるのかも触れていない。武田がそうした情報を公表していないのかと思ったが、他紙の記事を見ると違うようだ。産経の「武田薬品、ビタミン錠などの生産能力を倍増、福知山工場に新ライン」という記事では以下のように書いている。

【産経の記事】

武田薬品工業は27日、一般医薬品の生産ラインを増設すると発表した。約30億円を投じ、ビタミン錠などを手がける福知山工場(京都府福知山市)の生産能力を現在の年産12億錠から、平成29年4月に24億錠へと引き上げる。訪日外国人向けの需要増加や、将来の輸出拡大に対応する。

福知山工場では 「アリナミン」などの錠剤を製造している。現在、国内ドラッグストアで訪日客向けの販売が増加しているほか、海外での販売も伸びている。現在の福知山工場は週末を含め24時間稼働のフル操業が続いており、今後も国内外の販売増加が見込めることから増産体制を整える。

武田薬品工業コンシューマーヘルスケアプレジデントの杉本雅史氏は、「日本製の一般用医薬品は高品質で、外国人からの人気が高い」と話した。

武田薬品工業の平成28年3月期の市販薬事業売上高は801億円。今後は増産効果などにより、数年以内に1千億円を目指す。

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この記事では「福知山工場(京都府福知山市)の生産能力を現在の年産12億錠から、平成29年4月に24億錠へと引き上げる」との情報が入っている。産経の記事を参考にして、日経のベタ記事を改善してみよう。

【改善例】

武田薬品工業は27日、ビタミン剤「アリナミン」の錠剤の生産能力を倍増させると発表した。京都府福知山市の工場に30億円を投じ、2017年4月から年産能力を24億錠に増やす。縮小傾向にあった国内の大衆薬市場はインバウンド(訪日外国人)需要で盛り返しつつある。中国への輸出も計画しており、今後の販売増に備える。

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※日経の記事の評価はD(問題あり)。日経の企業関連記事から必須情報が抜けてしまう背景については「『無印』小型店 今後の出店数抜きに『出店加速』と書く日経」を参照してほしい。

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