2016年5月25日水曜日

特損回避で最高益? 東洋経済「セブン再出発」に残る疑問

嫌な予感がする。週刊東洋経済5月28日号の特集「セブン再出発~教祖はもういない」に関する問い合わせを東洋経済新報社に送ってから3日が経過したが、回答はない。この特集には、間違い指摘の握りつぶしで実績を持つ西村豪太編集長代理が参加している。役職から見て、特集の責任者だろう。だとすると過ちを繰り返しても不思議ではない。「毒を食らわば皿まで」か。

【東洋経済への問い合わせ(5月22日)】
筑後川橋(片の瀬橋)沿いの桜(福岡県久留米市)
                 ※写真と本文は無関係です

5月28日号の特集「セブン再出発」についてお尋ねします。58ページの記事では、イトーヨーカ堂の不採算店舗の閉鎖が進まない理由として「これまでは鈴木会長がリストラを抑えてきたという見方もある。鈴木会長はヨーカ堂幹部に対し、『HDが増益できる範囲でないと特損を出してはいけない』と指示してきたようだ。店舗を一気に閉鎖すれば、数百億円の巨額特損が発生する」と説明されています。

セブン&アイHDが増益を続けてきたのならば分かりますが、純利益で見ると2016年2月期まで2期連続の減益です。特損計上の回避によって増益を維持してきたとは考えられません。

49ページで「鈴木会長は退任会見で『この数年、連続最高益でやってきた』と実績を誇ったが、それを維持するためにリストラへの踏み込みが不十分だった懸念がある」と書いているのも、ヨーカ堂の不採算店舗閉鎖に関連したものです。ただ、ここで言うHDの「連続最高益」は営業利益ベースではありませんか。だとすると、リストラで巨額の特損を計上しても最高益は維持できます。

記事の説明には問題があると考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その理由も併せて教えてください。

付け加えると「増益できる範囲」との表現には違和感があります。「増益する」「減益できない」といった言い方はあまりしません。「増益になる範囲」などした方が自然ではないでしょうか。

----------------------------------------

東洋経済に関しては、20日に送った以下の問い合わせにも回答が届いていない。これらの問い合わせについて東洋経済編集部が「無視」を選択するのであれば、メディア全体への評価も考え直す必要が出てくる。

東洋経済オンラインに20日付で載った「復活『すき家』、業績急改善が止まらないワケ~ゼンショー、絵に描いたようなV字回復を達成」という記事に関する問い合わせの内容は以下の通り。

【東洋経済への問い合わせ(5月20日)】

「『復活すき家』、業績急改善が止まらないワケ」という記事についてお尋ねします。記事では「深夜営業を休止していた期間は、一定の時間で店舗を開店・閉店することによる食材廃棄ロスが大きくなった。深夜営業の再開に伴い、ロスは改善傾向にある。2015年4月に牛丼価格を291円から350円に値上げ(牛肉、玉ねぎを20%増量)した効果と合わせて、原価が20億円改善したという」と説明しています。

「原価が20億円改善」とは「原価が前の期に比べて20億円減った」という意味でしょう。しかし「牛丼価格を291円から350円に値上げ」しても原価は減りません(原価率を下げる効果はあります)。「牛肉、玉ねぎを20%増量」に関しては原価を増やす要因です。食材廃棄ロスの減少も利益を押し上げる効果はあるでしょうが、原価を減らすものではありません。深夜営業の再開によって使う食材の量自体が増えているのであれば、むしろ原価は膨らみます(価格変動は考慮していません)。「値上げや増量で原価が20億円改善する」という説明は正しいのでしょうか。

ゼンショーの決算資料によると、2016年3月期の原価は前の期より78億円増えており、原価率も43.0%から43.4%に悪化しています。記事から「ゼンショー全体で16年3月期に原価が前の期と比べて20億円減少した」と理解しましたが、どうも違うようです。これは「牛丼事業では原価が前の期より20億円減った」「食材ロス抑制、値上げ、増量による原価削減効果が20億円だった」という趣旨かもしれません。ただ、説明が十分だとは思えません。

上記の点に関して、どう理解すればよいのか教えていただければ幸いです。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

----------------------------------------

※上記の2つの問い合わせに関しては「道を踏み外した東洋経済 西村豪太編集長代理へ贈る言葉」「週刊ダイヤモンドが見習うべき東洋経済『セブン再出発』」「今度はゼンショー? 東洋経済 常盤有未記者の問題点」を参照してほしい。

追記)結局、いずれの問い合わせにも回答はなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿