2016年5月16日月曜日

日経 大石格編集委員は「パンドラの箱」を誤解?(2)

日本経済新聞の大石格編集委員が15日の朝刊総合・政治面に書いていた「風見鶏~広島訪問はパンドラの箱」という記事について、引き続き見ていく。まずは冒頭部分から。内容に大きな問題はないのだが、大石編集委員が日経社内で持つ力の大きさを感じられるので、取り上げてみたい。
地蔵(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

澄んだ空、青い海。先週末にハワイの真珠湾を訪れた。かつて日米がここで戦火を交えたとは思えない穏やかな南国風景だった。

日本軍に撃沈された戦艦アリゾナが未収容の遺体とともに海底にいまなお横たわる。米軍は引き揚げを断念し、海上に追悼施設を設けた。連絡船で行く。

同乗したのは、退役軍人らしき白人男性とその家族が多い。隣に座ったジェームズさんは艦名と同じアリゾナ州から来た。妻の父がここで戦死したそうだが、「日本への恨みはない」と話してくれた。船着き場近くにあった「我々は忘れない」と記したプレートを思い出し、少しほっとした。

追悼施設を訪れた日本の現職首相はまだいない。説明係のクリスさんに「謝罪しに来てほしいか」と聞いたら、「日本からは元軍人がたびたび献花しに来た。当時を知らない政治家が来ても、あまり意味はない」との答えだった。

こんな取材に行ったのはオバマ米大統領が広島を訪問することになると思ったからだ(10日に発表)。

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わざわざハワイまで「こんな取材に行ったのはオバマ米大統領が広島を訪問することになると思ったから」だそうだ。訪ねたのは広島ではなく、日本から遠く離れたハワイだ。「取材」と書いているので会社のカネで行ったのだろう。追悼施設に行き、連絡船で隣に座った人や説明係に話を聞いたらしい。

記事の終りの方には「船着き場の近くの売店では『75周年』と記したTシャツがよく売れていた」との報告もあるが、その程度だ。結構な金額をかけてまで取材に出かけていく意味があるだろうか。

日経は業績が絶好調で、海外出張もかなり自由に行けるというのなら問題ない。実際には、現場の記者が海外出張へ行くのはかなり難しいはずだ。大石編集委員にこんな必要性の乏しい海外出張をさせる余裕があるのか。日経では様々な意味でベテランの編集委員に自由を与えすぎる傾向がある。今回のハワイ出張はその一例だと思えた。

(3)では記事に関する残りの問題点を指摘していく。


※(3)へ続く。

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