2016年5月14日土曜日

「まず日経ビジネスより始めよ」秋場大輔副編集長へ助言

日経ビジネス5月16日号に秋場大輔副編集長が「ニュースを突く~変わらないのは三菱自だけか」という記事を書いていた。見出しから分かるように、燃費データの不正が発覚した三菱自動車を批判的に取り上げている。「開発部門の方が検査部門よりも力を持つという身内の論理が優先され、結果的に消費者を欺く」と秋場氏は三菱自動車の問題点を指摘する。しかし、消費者への背信行為を続けているという点では、秋場副編集長の古巣である日本経済新聞も今の日経ビジネスも似たようなものだ。「変わらないのは三菱自だけか」の問いかけには「変わるべきなのに変われないのは日経や日経ビジネスも同じだ」と返すしかない。
石垣山観音寺(福岡県久留米市)
         ※写真と本文は無関係です

ここでは秋場副編集長へ助言を送り、日経ビジネス編集部に変革を促したい。

◆秋場大輔副編集長への助言◆

変わらないのは三菱自だけか」という記事を読みました。秋場様の主張に特段の異論はありません。「様々な不祥事を見てきたが、大概は身内の論理優先が背景にある。組織の自浄作用が働きにくいことは今回の事件で改めて明らかになったが、それを防ぐ監督機能もさび付いている。この際、制度疲労も直した方が良い」というのは、その通りです。

せっかくなので、日経ビジネス編集部でも「身内の論理優先」をやめて「組織の自浄作用」を働かせてみませんか。日経ビジネスでは読者からの間違い指摘の多くを握りつぶし、訂正も出さずに済ませています。私は今年に入り御誌に関して7件の問い合わせしていますが、何の回答もありません。参考までに、問い合わせの内容を1つ紹介します。

【日経ビジネスへの問い合わせ】

日経ビジネス2月8日号の「時事深層~マイナス金利、企業は踊らず」という記事についてお尋ねします。記事ではマイナス金利政策について「日銀は2月16日から、当座預金についての対応を変える。2015年の平均残高に相当する分には従来と同じ利子を付けるが、それを上回る部分には逆に0.1%の利子(手数料)を取る」と説明しています。しかし、日銀の公表した資料に照らしてみると、上記の説明は誤りだと思えます。

日銀は日銀当座預金について「3つの階層毎に、プラス・ゼロ・マイナス金利とする」としています。しかし、御誌の説明ではゼロ金利になる部分がありません。「2015年の平均残高に相当する分」がプラスで、「それを上回る部分」がマイナスです。「ゼロ」はどこへ行ったのでしょうか。

日銀の公表資料によれば当初はプラス金利が約210兆円、ゼロ金利が約40兆円(マクロ加算残高)となり、それを上回る部分にマイナス金利を適用するようです。御誌の説明ではマクロ加算残高にもマイナス金利が適用されることになってしまいます。

記事の説明が正しいとすれば、その根拠を教えてください。誤りであれば訂正記事の掲載をお願いします。

----------------------------------------

私は日経ビジネスを定期購読しています。きちんとカネを払って雑誌を読んでいる人から「記事に欠陥があるのではないか」との指摘が届いたとします。「身内の論理優先」ではない優れた組織ならば、どんな対応を取ると思いますか。

上記の問い合わせには何か勘違いがあるかもしれません。ただ、罵詈雑言を投げ付けるような内容でないのは確かです。記事の説明がなぜ誤りなのか、理由も述べています。しかし、日経ビジネス編集部の対応は「無視」でした。

第三者から見れば、不適切な対応をしているのは明らかです。なのに、日経ビジネス編集部は「無視」を選び続けています。理由は2つ考えられます。

まず、プライドが高すぎるのでしょう。これは秋場様が以前に働いていた日経の編集局も同じです。私の問い合わせに事実誤認がなければ、日経ビジネスはマイナス金利政策に関して初歩的なところで間違えたことになります。この件で訂正記事が載った場合、それを読んだ多くの人は「日経ビジネスの記者って基礎知識なしに記事を書いているんだな」と悟るでしょう。そんな事態は、高すぎるプライドを抱えている人には耐えられません。だから「無視」に走りたくなるのです。

もう1つは監督体制の欠陥です。第三者的な立場で「これはミスか」「訂正を出すべきか」などと判断する仕組みがあれば、編集部が無視を決め込んでも通るとは限りません。推測ですが、日経ビジネスにはそうした仕組みがないのでしょう。

組織の自浄作用が働きにくいことは今回の事件で改めて明らかになったが、それを防ぐ監督機能もさび付いている。この際、制度疲労も直した方が良い」と秋場様は訴えていました。そもそも日経ビジネスにはミスの黙殺を防ぐ「監督機能」がないのではありませんか。仮にあっても間違いなく「さび付いている」はずです。

「これはミスか」「訂正を出すべきか」を編集部内で決めるのは、被告人に判決文を書かせているようなものです。本来ならば社外の組織に判断を任せるべきでしょうが、それが難しいのならば独立性の高い組織を社内に作って、そこに委ねるべきです。

三菱自動車の問題点が見えているのならば、実際に在籍した日経や日経ビジネスについては、より鮮明に分かっているでしょう。日経ビジネスの副編集長という責任ある立場にいる今こそ、改革の時です。

「まず日経ビジネスより始めよ」。最大限の期待を込めて、この言葉を贈ります。秋場様ならば、きっとできるはずです。


※記事の評価はC(平均的)。秋場大輔副編集長の書き手としての評価も暫定でCとする。

0 件のコメント:

コメントを投稿