キャナルシティ博多でのCharisma.comのサイン会 ※写真と本文は無関係です |
今回の「中外時評」では原油市場の動向を中心に現状を分析した上で、住友金属鉱山を例に取って資源関連事業のあるべき姿を示している。そのくだりを見ていこう。
【日経の記事】
過去10年で資源権益の獲得に動いた日本企業にも逆風は強い。ただ、そこには新たな好機もある。資源市場の熱狂が続いた5年前までは考えられなかった優良権益が市場に転がり出てくるからだ。
住友金属鉱山は2月、米鉱山大手フリーポート・マクモランから米モレンシー銅鉱山の権益13%(年間生産量で約6万2千トン)を10億ドルで追加取得すると発表した。会見に集まった記者の多くは不思議に思ったはずだ。なぜ、こんな環境で千億円を超す資源投資に動くのかと。
その答えも30年前にある。同社がモレンシー鉱山の権益を最初に取得したのは86年2月。住友商事と共同で15%の権益を7500万ドルで手に入れた。
当時の非鉄金属市場はどん底だった。85年には国際すず理事会による相場買い支え資金が枯渇し、ロンドン金属取引所(LME)が取引停止に追い込まれる「すず危機」が起きた。住友鉱の中里佳明社長は「米有力誌が『鉱山の死』を特集した」と悲観論が充満した時代を振り返る。
同社が86年に権益を買い取った時のLME銅相場は1トン1500ドル以下だ。銅相場は11年に1万ドル台の史上最高値を記録し、現在は5000ドル前後にある。市場に向き合う経験が長い人ほど相場の先行きは誰も分からないことを身にしみて知っている。
市場は熱狂と悲観を繰り返す。それに惑わされず、長期的な視点で将来に備えた投資が必要になる。資源を持たない日本はなおさらだ。
30年前に権益取得を決めた先輩に感謝したい――中里社長に大型投資の決断させたのも市場の教訓に違いない。
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資源価格が低迷している現状は日本の資源関連企業にとって好機とも言えることを、志田編集委員は住友金属鉱山の30年前の事例を基に説得力のある形で描き出している。
一方、西條編集委員は違う考えのようで、「業界の双璧である三菱商事と三井物産がそろって最終赤字に転落するのは、やはり衝撃的だ。資源以外の事業の育成を急ぎ、お得意の『稼ぐ力』を取り戻す必要がある」と説く。
もちろん、資源関連事業を縮小して非資源分野を拡充するのが「正解」である可能性はある。しかし西條編集委員の記事には「資源分野にさらに注力ではなぜダメなのか」「どんな非資源分野が有望なのか」という話は出てこない。資源関連の減損処理で赤字になったのを見て「非資源分野を拡充せよ」と単純に言っているだけだ。これでは編集委員という肩書を付けて解説記事を書く資格はない。
※「中外時評」に対する評価はB(優れている)。志田富雄編集委員への評価もBを維持する。西條編集委員の解説記事に関しては「何も言っていないに等しい日経 西條都夫編集委員の解説」を参照してほしい。
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