2016年2月7日日曜日

日経「刺し身のツマは不要?」に見える土曜夕刊の苦しい中身

新聞の夕刊は歴史的な使命を終えたと思っている。特に土曜の夕刊は要らない。夕刊を続けるかどうかはもちろん新聞社の自由だ。しかし、恐ろしいほど中身のない記事で埋めるぐらいならば、発行は止めた方がいい。

高良山の久留米森林つつじ公園(福岡県久留米市)
                 ※写真と本文は無関係です
6日の日本経済新聞夕刊総合面に載った「刺し身のツマは不要? スーパー、底上げ容器増加 盛り付け省略、経費も節減」という囲み記事は、世に出していいレベルに達していない。見出しを見ると、スーパーの刺身売り場の変化を紹介しているのかな思わせる。しかし、スーパーの具体名は出てこないし、業界全体で見てどうなっているのかも不明だ。

短い記事なので全文を見てみよう。

【日経の記事】

刺し身を彩る大根やニンジンといった付け合わせのツマ――。スーパーの食品売り場ではツマがなかったり、使用量を減らしたりした刺し身容器が増えている。底上げして段差をつけ、ツマがなくてもパック詰め商品のボリューム感が出る。大手スーパーなどが盛り付け作業の手間を省け、経費も節減できるとして扱いを増やしている。

食品容器最大手のエフピコが製造するツマを使わない刺し身容器シリーズの出荷量が毎年倍増のペースだ。刺し身を置く部分を大きく持ち上げるとともに水分が外に流れ出さないよう溝を付け、見栄えと鮮度を維持できる。大手スーパーからの注文が増え、現在は同社の刺し身容器の2割を占める。

ツマの使用量はゼロから自在にスーパー側で調整できる。使用量を半分にし、1店舗当たり年間20万円ほど経費を節減できたスーパーもある。積水技研(兵庫県伊丹市)もツマを3割減らせる容器を販売している。

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結局、この記事で「スーパーの食品売り場ではツマがなかったり、使用量を減らしたりした刺し身容器が増えている」としている根拠は「エフピコが製造するツマを使わない刺し身容器シリーズの出荷量が毎年倍増のペース」ということだけだ。しかし、エフピコの出荷量が増えているのは他社のシェアを奪っているだけかもしれない。つまり根拠は乏しい。

スーパーの食品売り場ではツマがなかったり、使用量を減らしたりした刺し身容器が増えている」と訴えたいならば、なぜ固有名詞を出してスーパーの動きを伝えないのか。その手間を惜しんでいるのが残念だ。

しかも、エフピコに関する情報が漠然とし過ぎている。「出荷量が毎年倍増のペース」というだけで、具体的な出荷量には触れていない。倍増ペースがどの程度続いているのかも不明だ。最後に少しだけ出てくる積水技研に至っては、販売を伸ばしているかどうかさえ分からない。

これだけダメな要素が揃っているのに、わざわざ囲み記事にして目立つ扱いにしているのだから救いようがない。「他に記事がないから」と言うならば、「土曜だけでも夕刊は止めたらどうか」と返すしかない。

※記事の評価はE(大いに問題あり)。

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