2016年1月15日金曜日

朝刊1面で「金=安全資産」と断定する日経の危うさ

15日の日本経済新聞朝刊1面のトップ記事「リスク回避、市場萎縮 長期金利最低0.190%~日経平均、一時1万7000円割れ」に付いているグラフが気になった。「リスク回避の動きが強まっている」とのタイトルを付けて「上海総合」「NY原油」「日経平均」「ダウ平均」を「リスク資産」に、「日本国債」「」「米国債」「ドル」「」を「安全資産」に分類している。しかし「金=安全資産」は疑問だ。
筑後川(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です

ドル」「」も引っかかるが、ここでは触れない。記事で言うような「原油=リスク資産」「金=安全資産」との分類に意味があるのか考えてみよう。「安全資産=元本割れのリスクが極めて少ない資産」と定義すると、原油も金もリスク資産だ。「安全資産=信用リスクがない資産」とすれば、金も原油も安全資産になる。結局、資産としての安全性に原油と金で本質的な違いはない。

定期預金を解約して金を買う場合、抱えるリスクはかなり大きくなると考えるべきだ。日経の読者は「金=安全資産」と安易に信じないでほしい。

金に投資させたい側にいる業界関係者は日経の記者にも「金は安全資産なんですよ」と洗脳しようとしてくるだろう。しかし、記者がそれに乗せられてはダメだ。念のために言っておくと、記事の中では「投資マネーが安全資産とされる国債に流れた」「有事に買われる金」とは書いているが、「安全資産である金」といった説明はしていない。それが救いではある。

※グラフに問題があるので記事の評価はD(問題あり)とするが、グラフ以外に大きな問題は感じられない。

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