2016年1月11日月曜日

東洋経済の特集「最強の株・投信・ETF」に見えた高い完成度

週刊東洋経済1月16日号の第1特集「最強の株・投信・ETF」(46~95ページ)は完成度の高い力作だった。2015年9月19日号の特集「やり直し相場ではじめるETF超入門」が問題山積だったので不安はあったが、杞憂に終わった。調べてみると、特集の担当者は重なっていなかった。

福岡市博物館(福岡市早良区) ※写真と本文は無関係です
ためになった記事としては「株式相場を左右するツイッター投資家の実態」「回転売買制限が現場を直撃~銀行員が内情を暴露 顧客開拓がしんどい」「優勝劣敗が明確に~独立系投信 真の実力(筆者は金融ジャーナリストの鈴木雅光氏)」などが挙げられる。

この手の特集で気になるのが、金融商品を売る側によって記事の内容が誘導されていないかどうかだ。これに関しても、今回は合格点と言える。「次の潮流は『ロボアド』に~ラップ口座の魅力と弱点(筆者はZUU社長兼CEOの冨田和成氏)」という記事では「購入のハードルが低いという点では今後、ファンドラップのニーズがさらに高まっていくだろう」と予想した上で以下のように解説している。

【東洋経済の記事】

ただし、気をつけるべきは手数料だ。ファンドラップの場合、購入した投信の信託報酬に加えて手数料がかかる。仮に投信の信託報酬が年1.5%、ファンドラップの手数料が年2%だったら、年3.5%のコストがかかる。そのため、期待リターンの低いファンドで運用したら、コスト負けしてしまう可能性がある。

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「期待リターンの高いファンドならば年3.5%の手数料でも問題ない」とも取れる書き方はやや気になるが、許容範囲内だろう。

冨田氏は最近注目されつつある「ロボ・アドバイザー(ロボアド)」を「投資家一人ひとりの投資目的やリスク許容度に合った最適なポートフォリオが提示され、さらには売買まで完結させられるという手軽さと手数料の低さが受け、米国では00年代後半から台頭してきている」と前向きに紹介している。

その程度のことに運用額の1%近い手数料を支払う価値はないと思うが、ロボアドに関しても記事では「ただし日本のロボアドはラップ口座に最適化した部分が強く、新世代富裕層を取り込むにはまだ力不足だ」と課題も指摘しており、バランスはそれなりに取れている。

結論としては、特集全体にツッコミどころが少なく、投資初心者でも読んでためになる内容になっていた。


※特集の評価はB(優れている)。担当した緒方欽一、鈴木良英、二階堂遼馬、島大輔の各記者については、緒方記者を暫定C(平均的)から暫定Bに引き上げ、他の3記者を新規に暫定Bとする。

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