中央公園(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
なぜこんな「珍予測」が紙面に出てしまったのか。記事の末尾に「日経ビジネス『徹底予測フォーラム2016』での対談や講演を編集しました」と書いてある。「これが怪しそうだな」と思って調べてみると、フォーラムの開催は2015年11月25日。つまり馬場氏の予測は2カ月近く前のものだ。
そう考えると、記事にはおかしな点が他にもある。聞き手の清水崇史記者は「日本の実体経済に回復の実感がない中で株高、円安、金利低下が進んでいます。乖離状態はいつまで続きますか」と質問している。金利低下はいいとしても、年明け後は株安で円高と見るべきだ。これも昨年11月の話ならば合点が行く(「乖離」があるかどうかは疑問も残るが、ここでは論じない)。
今回の問題にはどう対処すればよかったのか。いくつか選択肢を検討してみよう。
◎掲載日を早める
これがベストだろう。ファーラム開催から間を置かずに掲載していれば、記事の内容が同じでも問題は生じなかったはずだ。
◎問題部分を削る
1月18日号での掲載が前提条件ならばどうか。時間の経過に伴い陳腐化した部分を除いて構成すれば、問題は生じない。ただし、対談の根幹部分だと、削れば済むという話ではなくなる。
◎注記を付ける
どうしても陳腐化した内容を載せる必要がある場合、※印などを付けて「昨年11月25日時点での見解です」などと読者に知らせる手もある。今回も記事の末尾にフォーラムの開催日を入れておけば「昨年11月時点での予測だとは読者には明示している」と弁明できる。
ただ、馬場氏の予測は既に「外れ」が明確になっている。それをわざわざ1月18日号で読者にさらす必要があるのかという問題はある。しかし、注記なしで「現状認識もきちんとできていない人」と思わせるよりは好ましい。
※記事の評価はD(問題あり)。聞き手の清水崇史記者が編集を担当したとの前提で、同記者への評価も暫定Dとする。
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