ビューホテル平成(福岡県朝倉市)から見た筑後平野 ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
Jリーグチャンピオンシップ(CS)準決勝の後半が1―1のまま終わった瞬間、浦和の決勝進出が決まったと思ったファンがいたらしい。勘違いのもとにあるのはJ1昇格プレーオフのレギュレーションだろう。
J2の3~6位が戦うJ1昇格プレーオフは90分を同点で終わった場合、リーグ戦の成績上位チームが勝者となる。1年を通した戦いで決まった順位の優位性を確保するためそうなっている。
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吉田編集委員はこの試合をテレビで見ていなかったのだろう。放送中にアナウンサーは「上位チームにアドバンテージはない」「この試合に勝った方が決勝進出」「延長もあり。それでも決着が付かなければPK戦」と繰り返し伝えていた。それでも「1―1のまま終わった瞬間、浦和の決勝進出が決まったと思った」と勘違いしたのならば、勘違いする方に問題がある。
「スタンドで応援していた人が誤解した」という可能性はある。しかし、吉田編集委員は「(大会規定は)もちろん、それぞれの大会に足を運べば頭に入る」と書いている。スタジアムではきちんとした説明があるのだろう。ならば、テレビ観戦でもスタンド観戦でも、よほどボケていない限り誤解する人はいないはずだ。
そうやって考えると「浦和の決勝進出が決まったと思ったファンがいたらしい」という曖昧な書き方が気になってくる。誤解した人が本当にいるのかどうか、吉田編集委員も確認していないのではないか。「難解で意地悪」と訴えようとして無理のある説明になったと疑われても仕方がない。
ついでに、吉田編集委員の言う「難解で意地悪」についても私見を述べてみたい。
【日経の記事】
この規定に照らしてしまうと、CS準決勝は後半終了時点で年間勝ち点2位の浦和が同3位のG大阪を退けたという勘違いが起こる。ところがJ1では年間勝ち点の優位性が完全には尊重されておらず、浦和は延長戦で敗れ決勝に進めなかった。年間順位は3位に落ち、現時点ではアジア・チャンピオンズリーグをプレーオフから戦わなければならない立場となった。尊重するものが統一されていないのは、リーグの思想が定まっていないとしか思えない。
それにしてもJリーグの大会方式はややこしい。J2・J3入れ替え戦はJ1昇格プレーオフと違い、CS決勝と同じようにホームアンドアウェー方式で行われる。J2とJ3の実施要項が異なるため、J3チームのホームゲームはベンチ入り16人、交代は5人までだが、J2チームのホームではベンチ入り18人、交代は3人までというのも頭が混乱する。さすがに来季は実施要項をそろえるという。
Jリーグは3部リーグ構成に発展したが、統一感に欠ける難解な代物になっている。すべての大会規定を把握しているファンはどのくらいいるのだろう。もちろん、それぞれの大会に足を運べば頭に入る。つまり入場料がJリーグの大会規定、実施要項を学ぶ授業料になっているわけだ。何て意地悪なリーグなんだろう。
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ややこしいのは確かだが「何て意地悪なリーグなんだろう」とは思えなかった。自分がCSの準決勝をテレビ観戦したのは、ガンバ大阪を応援しているからだ。「J2・J3入れ替え戦」はスポーツニュースで見る程度の関心しかない。J1・J2・J3を通してしっかり見ている人などいないとは言わないが、かなりの少数派だろう。吉田編集委員のようなサッカー記者ならば全体を見るスタンスになるのは分かる。だが、大多数の観戦者はひいきチームを軸に見ているはずだ。分かりやすくした方が好ましいのは否定しないが、少なくとも個人的には「統一感」が欲しいとは感じなかった。
「それぞれの大会に足を運べば頭に入る。つまり入場料がJリーグの大会規定、実施要項を学ぶ授業料になっているわけだ。何て意地悪なリーグなんだろう」との吉田編集委員の訴えにも同意できない。「Jリーグの大会規定、実施要項を学ぶだけでゲームは観戦できない」というのならば、もちろん「意地悪」だ。しかし、入場料を払えばゲーム観戦はできるはずだ。ならば、ついでに大会規定を学べることに不満はない。むしろスタジアムでは大会規定をしっかり学ばせてほしい。
※記事の評価はD(問題あり)。過去の記事も考慮に入れて吉田誠一編集委員の評価はDとする。過去の記事については「日経 吉田誠一編集委員 D評価の理由」を参照してほしい。
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