早稲田大学大隈記念講堂(東京都新宿区) ※写真と本文は無関係です |
【日経ビジネスの記事(38ページ)】
ホテルの供給不足が叫ばれる中、“エアビービジネス”を手掛ける業者が増え続ければ、粗悪な物件の貸し出しや安全管理の不徹底など、様々なトラブルも起きかねない。
【日経ビジネスの記事(43ページ)】
「2015年の夏季シーズンには世界で1700万人がエアビーを利用し宿泊したが、何らかの緊急対応を必要としたのは300件のみ。99.998%の旅行者は安全面で問題がなかった」。そう、オーギル氏(注:エアビーのアジア地域の公共政策担当者)は胸を張る。同期間、世界中のホテルでどれだけの緊急事態が起きたか知るすべもないが、エアビーより少ないことは明らか。「民泊だから危険」というのは誤解と言っていい。
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記事では、日本でアパートの7部屋を借りエアビーを通じて貸し出している女性の話が出てくる。その後で「“エアビービジネス”を手掛ける業者が増え続ければ、粗悪な物件の貸し出しや安全管理の不徹底など、様々なトラブルも起きかねない」と警鐘を鳴らしている。しかし、これは奇妙だ。
ビジネスでやっている物件はトラブルが多いというなら分かる。しかし、「99.998%の旅行者は安全面で問題がなかった」のならば、ビジネスでやっている物件も「ほとんど問題なし」なのだろう。なのになぜ“エアビービジネス”だけ問題視するのか。「持ち家を貸し出す場合は粗悪な物件が出てこない」とも言えないはずだ。粗悪な物件が出てくる確率に明確な差があるのならば、そこを説明してほしい。記事を読んだ限りでは、“エアビービジネス”だけをなぜ危険視するのか理解できなかった。
ついでに言うと「夏季シーズン」には「IT技術」にも似たダブり感がある。そこそこ定着しているのかもしれないが…。
※上記のくだりに出てくる「エアビーより少ない」は「エアビーより多い」でないと成立しない気がする。これに関しては(1)で述べた。
◎ガソリン代が節約できる?
【日経ビジネスの記事(33ページ)】
それでも、黄さんはコミュートを気に入っている。
「コミュートはお金目的ではない。自宅周辺の客に出会えるので友人を作ることができるし、営業時のガソリン代も節約できて、環境にもいい」
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黄さんは車で取引先から会社や自宅に戻る時に、そのルートの途中で車に乗りたい人がいれば乗せて収入を得ている。それが「コミュート」だ。これで「営業時のガソリン代」が節約できるだろうか。営業で車を走らせる距離はコミュートを使っても基本的に変化しないので、ガソリン代も変わらないはずだ。コミュートで得た収入をガソリン代に充てることはできるが、それは「ガソリン代の節約」ではない。黄さんが実際にそう言っているとしても、そのままコメントとして使うのは問題がある。
◎嫌な革命が起きる?
【日経ビジネスの記事(33ページ)】
地球上で移動している全ての車の空席と目的地を把握することで、自動車交通システム全体の劇的な最適化を図る--。これこそがウーバーがやろうとしている革命の本質だ。タクシーのように見える今は仮の姿であり、革命への通過点に過ぎない。
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上記のような事態になれば、非常に大きな変化ではある。ただし、個人的には「嫌な革命」としか思えない。
ウーバーが「全ての車の空席と目的地を把握する」未来では、空席と目的地の情報をウーバーに与えることが当然に義務化されているはずだ。車に乗るたびに目的地を入力しなければならないのは面倒だし、それをウーバーに知らせるのも気が進まない。しかし、「革命」が成就すれば例外はないのだから、ウーバーに情報を提供するほかない。
そんな未来が訪れないように祈りたい。
※特集全体の評価はD(問題あり)。記事中の誤りを握りつぶす場合、書き手の評価はF(根本的な欠陥あり)とすべきだが、3人の役割分担が明確ではないので、今回は井上理記者 中尚子記者 齊藤美保記者の評価を暫定でDとする。
追記)問い合わせに対して日経BP社から「ご指摘の誤りについては、誌面で訂正いたします」との回答があった。
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