2015年12月1日火曜日

「プロの選び方」に異議あり! 東洋経済「マンション特集」(1)

「ここに書いてあることを信じてマンションを買ってはダメだ」と声を大にして言いたい記事が、週刊東洋経済12月5日号の第1特集「これからのマンション選び」の中にあった。スタイルアクト社長の沖有人氏が書いている「プロの選び方教えます~タワマンは北向き・低層を狙え」という記事だ。何が問題なのか具体的に解説してみる。

【東洋経済の記事】

それでもやっぱりマンションは「買いたいときが買いどき」です。物件価格低下の懸念があっても、それに備えてリスクヘッジすればいい。たとえば住宅ローン金利を低く抑える。頭金をできるかぎり積み、価格が下がったときにすぐに売れるようにする、といった具合です。

シーサイドももち海浜公園(福岡市早良区) ※写真と本文は無関係です
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まず、なぜ「買いたいときが買いどき」なのか根拠を示していない。理由もなしに「買いたいときが買いどき」と言われても納得できない。

さらに問題なのは「物件価格低下の懸念があっても、それに備えてリスクヘッジすればいい」という主張だ。沖氏は「住宅ローン金利を抑えた上で頭金をたくさん積めばリスクヘッジになる」と考えているのだろう。しかし、これではリスクヘッジ(相場変動などによる損失の危険を回避すること)にはならない。

沖氏の教えを参考にして全額現金(つまりローン金利の負担ゼロ)でマンションを買うとしよう。これで「価格低下の懸念があってもリスクヘッジはできている」と言えるだろうか。ローンを組んでいても全額現金でも、5000万円で買ったマンションの時価が3000万円になれば2000万円の含み損を抱える。損失はヘッジありでもヘッジなりでも同額だ。マンション相場が下がると利益が出るような金融商品を買ったりすれば、ヘッジにはなる。しかし、ローン金利を抑えてもヘッジにはならない。資金面で損失に耐えやすくなるだけだ。

百歩譲って「住宅ローン金利を低く抑える」ことがリスクヘッジになるとしても、そんな簡単な話ではないはずだ。基本的に、市場の実勢からかけ離れた低い金利で融資を受けるのは難しい。工夫の余地がないとは言わないが、他の条件を変えずに金利だけを市場実勢より低く抑えるのは至難だろう。簡単にできるのならば、沖氏には具体的な方法を紙面で示してほしかった。

この記事は他にも問題を感じた。それらについては(2)で述べる。

※(2)へ続く。

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