2015年11月25日水曜日

東洋経済よ お前もか…「緊迫 南シナ海!」で問い合わせ無視

日経と週刊ダイヤモンドが間違い指摘を無視するのは毎度のことだが、東洋経済は違うと思っていた。しかし、その期待は裏切られたようだ。最初に問い合わせをしたのが11月11日。その後に「早めの回答をお願いします。回答不可ということであれば、その旨だけでも伝えていただけると助かります」と催促してみたものの音沙汰はない。「ついに東洋経済もミス握りつぶしへ」と判断すべきだろう。

御船山(佐賀県武雄市) ※写真と本文は無関係です
週刊東洋経済11月14日号の巻頭特集「緊迫 南シナ海! 米中チキンゲームと日本の岐路」の中で問題とした記事は「米中は南シナ海でなぜ一発触発に?」(筆者=東京財団研究員の小原凡司氏)と「新オイルショックの現実味」(担当=西村豪太編集長代理、許斐健太記者、秦卓弥記者)の2本。問い合わせの内容を改めて紹介しておく。


【東洋経済への問い合わせ】

11月14日号の36ページの記事「米中は南シナ海でなぜ一発触発に?」で、筆者の小原凡司氏は米国の駆逐艦派遣について「その狙いは中国との軍事衝突ではなく『航行の自由』を守ること、つまり米海軍が世界中どこでも自由にアクセスできることを示すためだ」と書いています。しかし、「航行の自由」の原則はあくまで公海に限った話で、これが守られたからといって「米海軍が世界中どこでも自由にアクセスできること」を意味しません。現実に照らしても、世界中のあらゆる国の領海に米海軍が自由にアクセスできる状況にはないはずです。

40ページの記事「新オイルショックの現実味」には「仮に米中軍の衝突でマラッカ海峡経由のシーレーンが遮断されれば、原油の最大の輸入国である中国への供給不安も顕在化する。そうなれば世界の石油市場は売り手市場へ一変するだろう」との解説があります。しかし、「中国への原油輸出の途絶は供給過剰を招く要因になる」と考えるのが自然です。つまり、買い手市場になりやすくなります。もちろん米中の軍事衝突自体は原油相場の上昇要因でしょうが、「中国への供給不安の顕在化→一気に売り手市場になる」という経路での変化は考えにくいと思えます。

上記の2つの件で、記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題がないとすれば、その根拠も併せて教えてください。

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推測の域を出ないが、回答をためらわせたのは、「新オイルショックの現実味」の方だろう。「米中は南シナ海でなぜ一発触発に?」に関しては何とでも弁明できる。言ってみれば「正確さを欠く表現を用いた」というレベルの問題だ。

しかし「新オイルショックの現実味」はそうではない。「中国が原油購入を大幅に減らすと、一気に入り手市場になって原油相場が急騰する」というのは、どう考えてもおかしい。素直に問題があったと認めると、記事の説明の根幹部分が崩れてしまう。それに「自分たちは根本的な勘違いをしていた」と宣言することにもなる。だから、選んだ道は「無視」なのだろう。気持ちは分かる。しかし、見逃すことはできない。

同じ時期に別の記事で東洋経済に問い合わせたら、翌日には副編集長から回答があった。なのに、上記の件で回答がないのは、属人的な問題だと推測できる。具体的に言えば、西村豪太編集長代理の問題だろう。

※今回の「握りつぶし」を受けて、暫定でC(平均的)としていた西村豪太編集長代理の評価をF(根本的な欠陥あり)で確定させる。今回の件での握りつぶしは西村編集長代理の判断だと推定したためだ。東京財団研究員の小原凡司氏、許斐健太記者、秦卓弥記者については、今回の件での評価を見送る。ゆえに、暫定でB(優れている)としている秦卓弥記者への評価は据え置く。

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