2015年11月13日金曜日

東洋経済「フォーカス政治」「緊迫 南シナ海」に間違い指摘

東洋経済11月14日号に関して3つの間違い指摘をしてみた。編集部への問い合わせの内容を紹介したい。訂正記事を載せるような間違いではないが、問題がなしとも思えない。まずは「フォーカス政治~党内分権から官邸独裁へ 結党60年で自民党様変わり」という記事についての問い合わせから。

福岡城跡(福岡市中央区) ※写真と本文は無関係です
【東洋経済への問い合わせ】

11月14日号の105ページの記事で、筆者の千田景明氏は自民党に関して「民主主義国の中では極めてまれな一党支配体制を築いた。(中略)『疑似政権交代』によって危機を乗り越えてきた」と書いた上で「衆院選を経た本格的な政権交代が起きたのは2009年のことだった」と説明しています。これだと「自民党の支配体制が確立した後、08年までは衆院選を経た本格的な政権交代はなかった」と解釈するしかありません。しかし、実際には1993年の総選挙を経て細川政権が成立し、自民党は下野しています。細川政権の成立を「衆院選を経た本格的な政権交代とは言えない」と結論付けるのは極めて困難です。

例えば「二大政党の間での本格的な政権交代が起きたのは2009年」となっていれば問題はありません。記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。説明に問題なしとの判断であれば、その根拠も教えてください。

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次は巻頭特集「緊迫 南シナ海! 米中チキンゲームと日本の岐路」に関する2つの間違い指摘だ。問題としたのは2つの記事で、「新オイルショックの現実味」は西村豪太編集長代理、許斐健太記者、秦卓弥記者の3人が担当。もう1つの「米中は南シナ海でなぜ一発触発に?」は東京財団研究員の小原凡司氏が執筆している。

【東洋経済への問い合わせ】

11月14日号の36ページの記事「米中は南シナ海でなぜ一発触発に?」で、筆者の小原凡司氏は米国の駆逐艦派遣について「その狙いは中国との軍事衝突ではなく『航行の自由』を守ること、つまり米海軍が世界中どこでも自由にアクセスできることを示すためだ」と書いています。しかし、「航行の自由」の原則はあくまで公海に限った話で、これが守られたからといって「米海軍が世界中どこでも自由にアクセスできること」を意味しません。現実に照らしても、世界中のあらゆる国の領海に米海軍が自由にアクセスできる状況にはないはずです。

40ページの記事「新オイルショックの現実味」には「仮に米中軍の衝突でマラッカ海峡経由のシーレーンが遮断されれば、原油の最大の輸入国である中国への供給不安も顕在化する。そうなれば世界の石油市場は売り手市場へ一変するだろう」との解説があります。しかし、「中国への原油輸出の途絶は供給過剰を招く要因になる」と考えるのが自然です。つまり、買い手市場になりやすくなります。もちろん米中の軍事衝突自体は原油相場の上昇要因でしょうが、「中国への供給不安の顕在化→一気に売り手市場になる」という経路での変化は考えにくいと思えます。

上記の2つの件で、記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題がないとすれば、その根拠も併せて教えてください。

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※これまでの流れに従えば、東洋経済はきちんとした回答をしてくるはずだ。回答が届いたら、その内容を紹介したい。

<追記>

「フォーカス政治」については回答あり。「編集部からの回答に残る気がかり 東洋経済『フォーカス政治』」を参照。「緊迫 南シナ海!」は回答なし。これに関しては「東洋経済よ お前もか…『緊迫 南シナ海!』で問い合わせ無視」で触れている。

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