福岡城跡(福岡市中央区)から見た市街地 ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
「何歳で引退しますか」
「運用益は再投資にまわしますか」
自己資金の運用に迷った都内勤務の弁護士、平岩正さん(38、仮名)は昨年末、資産運用アドバイザーの助言を仰いだ。矢継ぎ早の質問に答え終わると、相手は「最適の資産配分は先進国株2割、新興国株1%、原油8%……」と即答。平岩さんは推薦された低手数料の上場投資信託(ETF)に3千万円を投じた。
銀行や証券会社でよくある風景のように見えるが、大きな違いがある。指南役はヒトではなく、「ロボ・アドバイザー」と呼ばれる自動プログラムなのだ。
投資顧問会社「お金のデザイン」(東京・港)が独自開発したプログラムは、8つほどの質問に答えると、国内外の株式や債券、原油や金までを含む資産配分を提示。世界中の6千近くのETFから30~40の推奨ファンドを選び出す。
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取材班が意図したものかどうか微妙だが、上記の説明には「お金のデザイン」という投資顧問会社がどうやって顧客からカネを取るのかが抜けている。この会社は「ETFラップ」というサービスを提供しているようだ。ラップ口座の一種だとすると、常識的に考えてラップ口座に関する手数料を取られるはずだ。投資対象が「低手数料の上場投資信託(ETF)」だとしても、投資そのものが低コストかどうかはラップ口座の手数料も含めて見なければ判断できない。
個人的には「せっかく低コストのETFに投資するのに、それをラップ口座でやればコストの低さが台無しになる」と思ってしまう。「ロボ・アドバイザー」にコストに見合う能力があるのならば、あえてラップ口座を選ぶ余地もあるが、「低コスト」とは言い難い。記事での紹介の仕方は、読者に大きな誤解を与えるものだ。
同じことが以下のくだりにも言える。
【日経の記事】
日本にもこの波は及ぶ。そう信じて動く先駆者の一人が柴山和久さん(37)だ。9年間の財務省勤務を経て外資コンサルティング会社に転じ、今年4月に自ら「ウェルスナビ」を起業した。低コストのETFと自動運用を組み合わせたサービスを年明けに始める。コンサル時代、米国で資産運用ビジネスにかかわった柴山さんの目には、日本の現状は「手数料が高く、高リスクの商品に偏っている。適切なサービスがあれば、それは変えられる」と映る。
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7月14日の日経の記事によると、上記のウェルスナビは「利用者が契約する資産残高の1%程度を手数料として受け取る」らしい。だとすると、これは明らかに「低コスト」ではない。投資家はETFの信託報酬に加えて、資産残高の1%程度をウェルスナビに持っていかれる。
1000万円を預けると年間10万円も取られる計算だ。「自動運用」がどの程度のものかは不明だが、リバランスぐらいなら10万円もかけてやってもらう意義は乏しい。断定はできないが、自動運用に市場平均を上回るリターンを継続して出す能力があるわけでもないだろう。それを「低コスト」で「超合理的な投資手法」であるかのように宣伝するのは好ましくない。
※記事の評価はD(問題あり)。
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