リエージュ(ベルギー)の中心部に近いギユマン駅 ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
耕作放棄地の多い100市町村の9割近くが、税法が定める毎年の土地利用状況の確認調査を行わず、適正に課税できなくなっていることが日本経済新聞の調査でわかった。実態を把握できないため耕作放棄地も課税上は固定資産税が軽い農地と見なされ、持ち主が土地を手放さないケースが多い。農業の生産性を高める大規模化を阻む一因となっている。
これを読むと、「土地利用状況の確認調査を毎年きちんととやるべきだ」と訴えたいのかと思ってしまう。しかし、5面の記事では様子が違ってくる。
【日経の記事】
放棄地が増える一方で、自治体の財政や人員の制約は強まっている。現況確認の頻度を現行法の「年1回」から「数年に1回」に改める一方、放棄地は必ず農地から除外するなどの改革が必要になってきそうだ。
1面の記事では、耕作放棄地の多い100市町村について、土地利用状況の確認調査を毎年はしていないとの回答が9割近かったため、「適正に課税できなくなっている」「実態を把握できないため耕作放棄地が農地と見なされている」と訴えている。それなのに、実態に合わせて現況確認を「数年に1回」に改めてはどうかと提案している。ならば、「全く調査しない」は改善すべきだとしても、「毎年せず」が9割という現状に大きな問題はなさそうだ。日経が求める改革が実現すれば「毎年せず」がおそらく「10割」になるのだから。
税制の見直しも必要なさそうに思える。1面の記事によると「確認の結果、耕作放棄地が農地から平均評価額が農地の107倍の雑種地に変われば、持ち主は税負担増を避けようと売却する可能性が高まる」そうだ。ならば、きちんと確認して耕作放棄地を雑種地に認定すれば済む。
5面の記事では、「税法の不備を改め農地税制を抜本的に見直す作業を急ぐ必要がある」と訴えている。しかし、税制の不備ではなく、確認作業という実務上の問題ではないのか。「農業委員会がその土地を農地ではないと認めない限り課税部局が別の地目に変えるのは難しい」と分析しているのであれば、税制をいじるより、農業委員会の権限や影響力を弱めるような法改正を進めた方が得策だろう。記事をいくら読んでも「農地税制を抜本的に見直す作業を急ぐ必要がある」とは感じられなかった。
※(5)でさらに指摘を続ける。
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