週刊東洋経済6月13日号のグーグル特集は、読むに値する内容だった。グーグルに関して基礎的な情報から最新動向まで、飽きさせずに読ませる工夫がなされていた。45ページにも及ぶかなり長めの特集だが、マンガなどを使っていることもあり、全ての記事をストレスなく読み終えられた。
ただ、気になる点もあった。総論とも言える最初の記事で「グーグルに社員として採用される難易度は、米ハーバード大学の25倍といわれるほど高い」との説明に触れた時は「ハーバード大の25倍とはすごいな。そんなに難関なの?」と素直に驚いた。しかし、この説明は怪しい。
「Part1 ついにベールを脱ぐ 最強組織の全貌」という記事では、グーグルの上級副社長の著書「ワーク・ルールズ!」の内容を紹介しながら、グーグルの強さに迫っている。その中の「採用」に触れた部分では、「ハーバード大学より25倍難しい就職」との見出しを付けた上で、同書からの引用として「(就職を希望する年間200万人のうち)グーグルが雇うのは年に数千人にすぎないから、ハーバード大学、イェール大学、プリンストン大学などと比べて倍率は25倍にもなる」と述べている。
最初の記事の「難易度は米ハーバード大学の25倍」も、見出しの「ハーバード大学より25倍難しい就職」も、根拠となるデータは同じだと推定できる。記事を読む限り、「倍率がハーバード大の25倍だから、難易度も25倍と結論付けた」としか考えられない。これに納得できるだろうか。
例えば、東大の入試倍率は4倍程度のようだ。一方、それほど名の知られていない中堅企業でも、採用10人に対して応募者が120人いたとしても驚くには当たらない。その場合、「この中堅企業に入社する難易度は東大合格の3倍」などと言っても、まず相手にされないだろう。
もちろん、精緻に難易度を測定したら、やはり東大合格の3倍の難易度だったという可能性もゼロではない。東洋経済の場合も「グーグルに入るのはハーバード大合格よりもやはり25倍難しい」と主張する余地は残っている。ただ、記事からは、まともな根拠もなく安易に「難易度25倍」と解説しているように見える。
この件で7日午後、東洋経済に対し「記事の説明は誤りではないか」と質問を送ってみた。記事・記者への最終的な評価は回答を見てから決めたい。
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