2015年6月27日土曜日

ピークは2013年? 日経「ゴルフ会員権 価格低迷」

仕方ないのかもしれないが、「これまでの経緯をあまり知らない記者が書いていて、デスクもそこを補ってあげられないんだろうな…」と思わせる記事が27日の日経朝刊企業総合面に出ていた。「ゴルフ会員権 価格低迷」という記事の中身は以下のようになっている。


【日経の記事】

リエージュ(ベルギー)のプリンス・エベック宮殿
                 ※写真と本文は無関係です

ゴルフ会員権の取引価格が低迷している。関東圏の平均価格は年初比で3%下落した。団塊の世代の高齢化に伴いゴルフをやめる人の売却希望が増えている。日経平均株価の上昇局面ではゴルフ会員権相場も上がってきたが、ゴルフ市場の構造変化で相関性が薄れているようだ。

関東ゴルフ会員権取引業協同組合(東京・千代田)がまとめた関東圏の平均価格(指定150コース)は206万5千円で、年初比6万6千円下落した。ピークだった2013年5月に比べると27%(76万4千円)下がった。仲介大手の住地ゴルフ(東京・中央)が算出している全国平均価格も121万円となり、13年5月比で11%下落した。日経平均株価が5割上昇したのと対照的だ。

ゴルフ会員権相場は、日経平均株価が上昇局面に入った12年12月から一時的に上がったが、13年5月をピークに下げが続く。業績が上向いた企業が含み損を抱えた会員権の売却に動いたことや、優遇税制の廃止をにらんだ個人の売りが重なった。



この分野に詳しくない人が記事を読んで、「ゴルフ会員権の相場は2013年が最高値だったのか。バブルの頃より2年前の方が高かったんだなぁ…」と勘違いしたとしても、読者を責めるのは酷だ。ゴルフ会員権相場は2013年よりバブル期の方がもちろん高い。関東圏指定150コースの「ピーク」は1990年のようだ。

日経には「記事の説明は誤りではないか」と問い合わせている。しかし、日経は読者の問い合わせに対しまともな対応をしない方針のようなので、きちんと回答してくる可能性はほぼゼロだ。記者など当事者に話を聞けば、「『直近のピーク』という意味で『ピーク』と書いた」と弁明しそうな気はする。しかし、そうは書いていないのだから「間違いか」と問われれば「間違いです」と答えるしかない。

最後の段落で「会員権が『投資ではなく実需で動く商品になった』(仲介大手の桜ゴルフ)ことで、ゴルファーの高齢化と競技人口の減少の影響を直接受けるようになった」と書いているのも、「この記者は分かってないのかな」と思えた理由の1つだ。いつからと明確に言えるわけではないが、プレーもしないのに値上がり益を期待して会員権を買うといった動きがほとんどなくなったのは、ここ1、2年の話ではないはずだ。軽く10年は経つだろう。しかし記事では、まるで最近の状況変化のように書いている。

せっかく記事で取り上げるならば、「団塊世代撤退の影響」と「株価との連動性の消失」の、どちらかに絞って分析をした方がよかった。しかし、踏み込んだ分析ができるほど記者は市場を理解しているのかと言われると、ちょっと苦しい。


※記事の評価はD(問題あり)。

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